Link Numazu ②-2

ある日のこと、

男女のお客様がいらっしゃって、おかしなことを言い出しました。


Link Numazu に話し手として出てみないか。


これは、


You、ジャニーズでデビューしちゃいなよ、


と言っているのと僕にとっては変わらない。


この人達は一体何を言っているのだろう。

沼津という町は、ここまで危機的状況なのだろうか。


少し焦る。


が、いつもの調子でのらりくらりとかわそうかと、


えー、

でもー、

だってー、


いい年したオッサンがもじもじしていた時、1つのアイデアが浮かぶ。


そうだ、社長に何か喋らそう。


いたずらっ子になった僕は、


いいっすねー

社長にスナック文化についてしゃべらせましょうよ!


仕返しが出来るとはしゃいでいる僕に、その男性のお客様が言う。


いやー、僕はマスターがコーヒーを淹れながら語るのを夢想してたんですよぉ。


「えっ」


この男は僕の心が読めるのか?


この時、僕は腹を決めて流れに身を任せることにした。


このイベント、10分から15分以内でまとめなくてはならない。

コーヒーの大会も実際にコーヒーを淹れながら、プレゼンしながら、これくらいの制限時間。

常々、僕はコーヒー農家のことが知りたかった。

プレゼンには、農家の情報が必須であり、それを調べるいい機会。

そしてなにより、僕はカウコーヒーを手にしていた。



実は、僕がここ1、2年感じている漠然とした壁がある。


その壁は、生産地へ行けば越えられるのではないかと、なんとなく考え始めていた。


実際に行くことは出来ないが、

日々日常に流されている僕に、


「ちゃんとコーヒーと向き合え」


Link Numazu にケツを叩かれた気がした。