お店で話すように

いらっしゃいませから始まって、お客様といろいろなお話をさせていただいているわけですが、

お金がないよ

今日はこれで勘弁して、と5円を差し出すおじいちゃん

そんなんじゃ駄目だよ

いくら?

と聞いてくるから

500万

はいよ、と500円をカウンターに置いて

僕も何事もなかったようにそれを受け取る

そんなやりとりがほぼ毎日行われていたわけですよ。

それも出来なくなったものですから、試しにパソコンに向かってしゃべってみようかなと暇に任せて指を動かしているわけです。

 

実にいろいろなお客様がこのコーヒー屋にいらっしゃっているわけですが、これから夜逃げをするという方にミカンを持たせたり、女装した大男に営業できる夜のお店を紹介出来なかったり、警察の方の聞き込みであったり、おじいちゃんにポケモンGOのやり方を聞かれて頭を抱えたり…とまあ本当に様々です。

 

そんな中、片腕が不自由なおじいさんがよく来てくれていました。

お店で話すように書けたらいいのですが、実際は書けないような話をよくしてくれたんです。

笑えないようなことを実に気持ちのいい笑顔で話し、最初は戸惑いましたが、そこにたくましさと柔軟さがあって尊敬すら感じていました。

片腕が不自由でも貧しくても、笑って頭を使ってなんとか乗り越えてきた泥臭い話。

これは僕の心もだいぶ楽にしてくれました。

ありがたい。

あのおじいさんだったら、今のこの状況をどう言っただろうか。

きっと、やばいよと笑っていただろうな。

 

やばいよ(笑)